
無数の無人機による攻撃(中国電子科技集団が作成したとされるCG映像より)
高度な人工知能(AI)を搭載した兵器が、自らの判断で攻撃して相手を殺傷する自律型致死兵器システム(LAWS=ローズ)を規制する初めての指針が国際会議で示されました。
問題となっているのは、人工知能(AI)を搭載し、自らの判断で人命さえも奪う、完全自律型の致死性兵器で、英語の頭文字をとってLAWS(ローズ=Lethal Autonomous Weapons Systems)と呼ばれています。またの名を「キラーロボット」。
日本はこの兵器を開発しないという立場ですが、「有意な人間の関与が確保された自律型兵器システムについては、ヒューマンエラーの減少や、省力化・省人化といった安全保障上の意義がある」としています。
自律型致死兵器システム(LAWS)は、核兵器に次ぐ兵器革命をもたらすと警告されており、米国やロシアなど10数ヵ国が開発中で、近い将来の実戦利用が懸念されています。
そして、米露にも増して、この兵器開発に力を入れているのが、中国です。
LAWSと軍事・安全保障に詳しい元陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏の話が産経新聞に掲載されました。渡部氏と記者の一問一答をご紹介します。
元陸自東部方面総監の渡部氏「規制しても実効性は全くない」
記者:日本政府は、人間が関与しない完全自律型のLAWSを開発しないとの立場だ。
渡部氏:政府の立場を支持する。最終的な攻撃の判断などに人間の関与を残しておくのはベターだと思う。ただ、AIの開発をこれ以上制限するのはやめるべきだ。完全な自律ではない、自律的な兵器そのものを禁止するような立場は取るべきではない。
記者:LAWSの開発を規制しようとする国際社会の動きをどう思うか。
渡部氏:規制しても実効性は全くない。民主国家の人権派はLAWSを完全に禁止させようとしているが、中国は開発を目指す。彼らには制限がないからだ。かつて対人地雷やクラスター爆弾の禁止条約を日本は批准したが、中国だけでなく米国やロシアも批准していない。それと同じで、LAWSを禁止する条約ができても彼らは批准しない。自らの手を縛るようなまねはしないだろう。
記者:日本は将来、LAWSで武装した中国やロシアと向き合わねばならないのか。
渡部氏:そう考えるべきだ。中国は米国との間で世界一争いをやっており、完全な自律型のAIを搭載したシステムが戦い合う世界を最終的なターゲットとしてにらんでいる。もっとも、完全な自律のシステムを達成するのは現代の技術でもなかなか難しい。大切なのは、完全でなくても、AIを用いた自律的なシステムがある点だ。
AIで世界一を目指す中国政府、キーワードは『AIによる軍事革命』
記者:中国では無人航空機をはじめ、AIの軍事利用が急速に進んでいる。
渡部氏:中国政府は2030年にAIで世界一になると言っている。人民解放軍も(民間技術の軍事転用などを行う)軍民融合の戦略の下、民間のAI技術を軍事の全ての分野に適用しようとしている。キーワードは『AIによる軍事革命』だ。例えば14億人のビッグデータは彼らのものすごい財産で、民主国家のような情報収集の制限がないため、無制限に集めてAIの開発に活用できる。彼らは真剣にやっており、いずれ人民解放軍は最先端の軍隊になってしまうだろう。
記者:日本はどうすべきか。
渡部氏:このままでは日本が守れなくなるという危機感を持つべきだ。新たな防衛大綱では陸海空に加えて宇宙やサイバー、電磁波といった領域も重視しているが、この全てで積極的にAIを適用する必要がある。これから必ず、尖閣諸島近くの空や海で中国の無人機に遭遇する。東シナ海や南シナ海で、無人の潜水艇による潜水艦の探知システムを構築されたら非常に大きな脅威だ。防衛に携わる者は、最悪に備えないといけない。
自衛隊がいかに優秀でも、補完的にAIを利用しなくては自衛隊員が疲弊してしまいます。
「AIは人間と異なり、疲労や睡眠不足がなく、冷静で死の恐怖も一切感じない。生身の兵士が現場で判断するよりも、AIに任せる方が信頼できるという見方もある」。韓国の国立大「韓国科学技術院(KAIST)」のAI技術研究者デビッド・ヒュンチュル・シム博士の見解です。
サウジ石油施設攻撃、国家防衛の見直し迫る無人機の脅威

サウジアラビアの石油施設を攻撃した兵器の残骸
9月14日に発生したサウジアラビアの石油施設攻撃には、合わせて20機以上の無人航空機が使用されたといいます。
こうした無人機を使った攻撃の脅威は今後ますます高まりそうです。
さて、中国に話を戻しますと、中国空軍と中国海軍の無人機(ドローンなど)は確認されているだけでも1000機以上が実戦配備されているとされ、運用数はすでに6000機を超えていると分析する専門家もいるようです。
2017年には119機の無人機を同時に飛ばし、AIを組み入れた全機が自律的に任務を遂行しました。
日本が最も警戒しなければならない国は、やはり中国ということになりそうです。
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