米、パリ協定離脱を正式通告 温暖化対策より国益&トランプの「自己都合」
2019/11/06

米国トランプ政権は4日、気候変動への国際的な取り組み「パリ協定」からの離脱を国連に通告しました。
パリ協定は発効した16年11月4日から3年が経過するまで離脱できない仕組みになっており、実際の離脱は通告から1年後の20年11月4日になります。
その前日の11月3日には米大統領選挙が控えておりトランプが再選されれば翌日に正式に離脱できますが、トランプが敗ければ、大統領選の勝者が離脱の是非を決めることになります。
「パリ市民の代表ではない」
トランプは選挙期間中から人為的な活動による地球温暖化に懐疑的で、パリ協定の温暖化ガスの排出規制が石炭など米エネルギー産業の足かせになるとして協定離脱を公約にしていました。
BBCによれば、トランプは米国をエネルギー超大国にすると約束。ガスや石油、石炭の生産コストを削減するため、多数の汚染対策を破棄しようとしており、前大統領オバマの環境計画をアメリカのエネルギー業界に対する戦争だと指摘していたようです。
昨年にパリ協定から離脱する意向を示した際には、「私はパリではなくピッツバーグの市民を代表するために選ばれた。アメリカの国益にならない協定からは離脱するか再交渉を行うと約束する」と述べています。
実際には再交渉などはなく、最初から離脱の腹だったことがわかります。
共和党と民主党は互いに罵り合い、足を引っ張り合う構図ですから民主党のオバマがやってきた政策は気に食わないでしょう。
しかし、世界的に干ばつや洪水などの異常気象が頻発し、地球規模で温暖化が昂進しているのに、トランプが気候変動や温暖化に「懐疑的」というのは解せませんよね。
ですが、まだ実業家だったトランプは2012年には自らのツイッターで「地球温暖化という概念は、もともとアメリカ製造業の競争力をそぐために中国によって中国のために作り出されたものだ」と発信、それ以来、ことあるごとに「温暖化は人間の活動とは無関係」と気候変動説を否定し続けてきています。
これが大統領選への布石の一つだったのか、根っからの反環境主義者なのかは、わかりません。
ただ、興味深いのは、ワシントンに本部を持つ政治献金調査機関「センター・フォー・レスポンシブ・ポリティクス」の調査データによると、2016年大統領選でトランプに大口政治献金したトップ企業10社のうち、第1位と2位は、マレー・エナジー社、アライアンス・コール社のいずれも石炭採掘会社だったことが明らかになっています。参考記事:斎藤 彰氏 (ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)
世界のCO2排出量 日本は5番目、最も多いのは中国

世界の二酸化炭素排出量(2016年) 出典)EDMC/エネルギー・経済統計要覧2019年版
世界のCO2(二酸化炭素)排出量が最も多いのは中国、2番目は米国で毎年50億トン以上を排出し、この二国で全世界の4割強を占めています。
日本は5番目ですが、排出量は中国や米国の4分の1以下となっています。
一人当たりの排出量ではアメリカが最も多く、日本の約2倍、中国の約2.5倍ということです。
百年に一度規模の災害が毎年という恐ろしい予測
世界195か国が参加する気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が承認した評価報告書によると、人類が排出した二酸化炭素の4分の1と温室効果ガスによって生じた熱の9割以上を海が吸収してくれていることにより、地球は居住可能な状態にとどまっているものの、これまでに受けた被害は既に甚大とのこと。
温暖化が海と氷に及ぼす影響は、氷床の縮小や海面上昇、氷河の消失など多岐にわたり、水産資源が減り、真水の水源を破壊し、毎年のように複数の大都市を荒廃させる巨大な暴風雨が発生すると警鐘を鳴らしています。
中でも最大の脅威は、主にグリーンランドと南極を覆う氷床の融解の加速による海面上昇のようです。
海面上昇のスピードは2005年以降、20世紀中と比べて2.5倍にもなっており、2050年まで温室効果ガスを積極的に減らしたとしても、沿岸部の多くの大都市や島国が、これまで百年に一度とされてきた規模の災害に毎年見舞われるようになると予測されています。
百年に一度の災害が毎年繰り返されるなんて、空恐ろしい予測です。
温暖化による海面上昇で国そのものがなくなる危険にさらされているマーシャル諸島のヒルダ・ハイネ大統領は「気候変動の最前線に住む私たちにとって、非常に心配な決定だ」と今回の離脱の通告を危惧しています。
地球温暖化など環境問題は切迫した重要な課題の一つです。
「パリ協定」からの離脱を国連に通告したことについて、小泉環境大臣は「極めて残念」「率直に言って、トランプ大統領に翻意を促しても不可能だと思う」と述べました。
確かにトランプの翻意は不可能でしょうね、ほぼ100%。
離脱を正式に国連に通告したことにより、米国は世界で唯一、同協定に参加していない国となります。
国益如何で国際社会の枠組みさえも変える米国
米国は自国の国益にとって都合のよい方向へ国際社会の枠組みを変えてきます。
安全保障でも必要とあれば軍事介入をしますよね。
東アジアはどうでしょう?米中二国の覇権争いに加えて北朝鮮も着々と核兵器開発を進めています。
中国が経済でも軍事力でも米国を凌ぎ、二国の均衡が崩れたとき、米国は日本を守ってくれるでしょうか?
答えはNOです。日本を守ることに国益なしと判断すれば、日米同盟は無力化するという予測があります。
世界は非情です、日本人のように義理人情で動くわけではありません。
自主憲法を制定して、安全保障でも自立した国にならなければ、日本の行く末は中国の属国です。
温暖化から話が飛躍しましたが、米国は国益でいかようにも変わると言いたかったのです。
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