習主席「国賓」の是非を問う櫻井よしこさん4月に予定されている日中首脳会談の開催をめぐり、中国の習近平の「国賓」待遇による訪日について反発の声が高まっています。
香港デモの弾圧、ウイグルでの数百万人の強制収容、古くはチベットの侵略・弾圧に始まる、民族浄化や人権弾圧など非人道的行為を繰り返す中国。日本国内においても連日のように尖閣諸島への領海侵犯を繰り返す中国の国家主席を「国賓」として招いてよいものなのか?
国賓待遇とは政府と皇室が最上級の客人として接遇することであり、与党である自民党内の保守系有志議員でつくる「日本の尊厳と国益を護る会」(代表幹事・青山繁晴参院議員)も強い反対の声を上げ、習近平国家主席の国賓としての来日に反対する決議文を政府に渡しています。
櫻井さん、天皇陛下の政治利用を懸念ジャーナリストの櫻井よしこさんは昨年来、「安倍晋三首相はなぜ習氏の国賓待遇での来日に傾いているのか。国際社会を広く見渡す首相の視点の確かさを思うとき、理解し難い」「今の中国の国家主席が国賓として招かれる資格があるかということをきちんと問わなければいけない」と、習主席への国賓待遇の再考を訴えてきました。
中国が1989年に起きた天安門事件のイメージを国際社会から払拭する必要があった当時、1992年の天皇訪中は日中関係史で歴史的な出来事であると同時に、中国にとっては西側諸国の対中制裁の突破口という側面がありました。
1988年から外務大臣、1993年から副首相(外交、台湾、香港問題担当)も兼務し、2003年に副首相を退任するまで、江沢民政権を支えた銭其琛(せんきしん)が回顧録で明かしています。
日曜報道「THE PRIME」の中で櫻井よしこさんは、この回顧録に触れ、「世界が中国に制裁を科していた当時、日本が一番早くこの制裁を解いた。あのとき、世界中から制裁を受けていた中国は、その制裁を解くためにどこが一番弱いか調べたら日本だったと。日本を落とし込んで、まず日本にその制裁を解除させることにしたら、他の国も雪崩を打って解除を始めた。大成功だった、してやったりということを書いているわけです」と説明。「92年のことを考えれば、ただ利用されるだけ。中国が甘い国だと思うのは間違いだ」と指摘します。
中国主席・習近平を「国賓」として迎える是非とは?和田、足立、福島3議員も国益の観点から「国賓」憂慮元NHKアナウンサーで自民党の和田政宗参院議員、「国会の爆弾男」の異名を取る日本維新の会の足立康史衆院議員、元経産官僚で旧民主党の福島伸享(のぶゆき)前衆院議員(無所属)らも国益を守る立場でこう述べています。
--4月には中国の習近平国家主席の国賓来日が予定されている
福島氏「天安門事件(1989年)で、世界中が中国に背を向けた際、最初に日本が手を差し伸べたが、その恩に中国は何も報いていない。『天皇陛下に、露骨に人権侵害している国家のトップを会わせてもよいのか?』との思いだ」
和田氏「特に、新疆ウイグル自治区での人権問題は注視すべきだ。香港情勢でも、日本政府は中国指導部と会談するたび、懸念を伝えてきた。ウイグルや香港情勢が改善しなければ、日本政府が『決断』すべきときが来るかもしれない」
足立氏「それにしても、自民党は対中国政策で腰が定まらないね。むしろ、共産党などが対中強硬姿勢で声を上げている。複数の邦人が中国に拘束されたままだ。来たる通常国会では予算委員会で必ず質問する。議論せずに4月に突入したら、現場は混乱するだろう」
出典:【新春爆弾鼎談】zakzak by 夕刊フジ(2020年1月5日配信)
東大名誉教授・小堀氏も「国賓」待遇での招聘を危惧東京大学名誉教授・小堀桂一郎氏も習近平の国賓待遇での招聘(しょうへい)を危惧する一人です。
≪中国の姿勢は険悪の度増す≫
現在の国際関係といふ環境に於ける中国の位置は、28年前のあの時と比べて少しも向上してゐるわけではない。天安門弾圧事件に相当する罪禍として香港市民の自由護持行動を敵視する暴力的介入があり、ウイグル人の人権侵害・集団強制収容所送りの犯罪がある。
日中関係に絞つてみての付帯的状況に於いても、尖閣諸島海域への中国海警局の武装強化且つ大型化した公船の頻繁な侵入、接続水域での挑発的な航行、他方で邦人の学者・民間人の不当な拘束等々、彼の国の対日敵視・侵略姿勢は平成4年当時より著しく険悪の度を加へてゐる。
曽(かつ)ての天皇御訪中問題の際の反対者側の論理は、〈中国の現状は、とても天皇陛下が訪問されるのにふさはしい国とは言へない〉といふ宣言の一節によく集約されてゐた。今その定式に擬(なぞら)へて言へば、〈現在の中国は、その国家主席を国賓として日本に迎へるのにふさはしい国とは言へない〉といふ形にでもならうか。
出典:年頭にあたり 今春の国家的な難問題について(産経新聞 2020年1月6日付朝刊)
中国の習近平国家主席(右)と握手する安倍首相≪習氏「国賓」に潜む危険≫
平成の天皇御訪中は、簡約化して言へば、中国共産党政府の民権弾圧の暴政を日本国天皇の行幸によつて糊塗(こと)し、自由主義諸国による批判から彼等を曲庇する衝立となつてしまつた。文字通りに悔を千載に遺した国家的失錯だつた。
今回のなりゆきを考へてみるに国賓として来日した習氏が今上陛下に拝謁して、もし又しても天皇の御訪中を懇請でもしたら政府はどう対応するつもりか。上皇陛下の御先例に徴してみても日本国政府はその招請を謝絶する論拠を持てないであらう。
今上天皇の御訪中が万一実現でもしたら、その事だけで既に、共産主義勢力の覇権的強大化を恐れるアジアの周辺諸国や地域、台湾、香港、チベット、ウイグル、モンゴル等の民衆の大きな失望を買ひ、日本国の国際秩序維持能力への信頼感は大きな傷を負ふ事になるであらう。習氏「国賓」には、こんな危険が潜んでゐる。
出典:年頭にあたり 今春の国家的な難問題について(産経新聞 2020年1月6日付朝刊)
歴史的仮名遣いを使っておられるので、私には少し読みづらい文章ですが、今上天皇の訪中という万一の可能性も含めて、習近平の「国賓」が日本への失望と国際社会での信頼喪失を招きかねない重大な問題を孕んでいることを教えてくれます。
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